世界で唯一 五輪旗を二度迎えた街・軽井沢

明治19年にA.C.ショーが初めて訪れて以来、国を超えて多くの人々に愛されてきた軽井沢。この地に親しむ外国人が増えるにつれ、欧米発祥のスポーツも 自然と土地になじんできました。清涼な空気の中でのスポーツは、娯楽であると共に大切な社交の舞台でもあったのです。古い写真には洋装でテニスやゴルフに 興じる文化人の姿も見られます。その後、二度のオリンピック開催を経て様々なスポーツが身近なものとなり、今では誰もが四季折々の自然を楽しみながら、心 地よい汗を流せる場所となっています。

長野冬季オリンピック
 
氷上で繰り広げられた熱き戦い
 
スポーツの街・軽井沢を世界的に印象づけたのは、1998年の長野冬季オリンピックではないでしょうか。この大会で初の公式種目となったカーリング競技が、風越公園アリーナで開催され、観客を沸かせました。もともと軽井沢はスピードスケートの世界選手権やアイスホッケー、フィギュアスケートの国体会場となったほど、氷上競技のさかんな場所。この五輪を機にクラブチームが結成されるなど、カーリング熱も一気に高まりました。

 

東京オリンピック二度のオリンピックの舞台として
 
東京オリンピックの総合馬術も開催された軽井沢は、夏冬両方のオリンピック会場となった世界唯一の街です。総合馬術とは「馬場馬術」「障害飛越」に、道なき原野を駆ける「野外騎乗」という種目が加わったもの。コースに適した自然があり、かつ交通の便が良い軽井沢が、東京に次ぐ会場として選ばれました。当時は12ヶ国48人が参加し、激しくも美しいレース展開で観客を魅了しました。総合一位は、ハードな野外騎乗で最高得点を獲得したイタリアのチッコリ選手。女性騎手として奮闘したアメリカ・デュポン選手の艶やかな演技を憶えている人もいることでしょう。5つのコースがつくられた地蔵ヶ原一帯は現在ゴルフ場となっていますが、馬の蹄ひずめ模様を配した聖火台は今も風越公園のオリンピック記念館横に残されています。
人馬が一体となる躍動感を自分でも体感したいという人は、体験コースのある乗馬クラブを覗いてみるのがいいでしょう。会員でなくてもレッスンを受けられ、場内や林内コースでひき馬を楽しむこともできます。

 

高原でスポーツに興じる休日
 
軽井沢テニス

古くから上流階級に親しまれたテニスも軽井沢の代表的なスポーツです。かつて避暑に訪れた人々は、まずコートへ出向き、別荘の仲間と親交を深めたといいます。明治から昭和初期には別荘所有者のみが利用できる会員制のコートがいくつも作られました。天皇陛下と美智子皇后のロマンスで知られる「軽井沢会テニスコート」もそのひとつです。もちろん今では、予約も不要で、だれもが気軽に利用できるコートが塩沢エリアなどに点在しています。高原の心地よい風を受けて優雅にプレーできるのは、軽井沢ならでは。ラケットや靴をレンタルできるなど、ビジターにうれしい気配りもあります。
浅間山を望む広大なゴルフ場からボート遊びができる涼やかな湖、サイクリングに適した小径まで、軽井沢の自然はとても表情豊かです。好きなスポーツを思い思いに楽しむことで、いつもと違う街の表情も見えてくるかもしれません。